特集

Interview “Do my Best!”

―街全体を彩るストーリーを作り上げる― まちなみづくりの仕事

造園事業部 営業部設計課 毛利 久子 係長

My Best Project

星と時のVillage

再開発により人気が高まっている「千葉ニュータウン」に作られた240区画の分譲住宅地。一番の特徴は、樹木に彩られた遊歩道型の公園の存在です。車が来ない安心の空間では子どもたちが自由に遊べるようになっています。美しいランドスケープや人と人との交流デザインが評価され、「2018年度グッドデザイン賞」を受賞しました。このプロジェクトは、トヨタホーム株式会社、トヨタホーム東京株式会社、トヨタホームちば株式会社によるもので、当社では、まちなみづくりの計画・設計・施工を担当しました。

「まちなみづくり」事業は、その名前の通り、そのエリアの計画・設計から携わっているのですね。改めて「事業・業務」の説明をお願いします。

「まちなみづくり」事業では、戸建分譲住宅のまちなみや外構、造園の設計を担当しています。「星と時のVillage」のような大規模な街のランドスケープ設計から、戸建てのエクステリアを手掛けることもあります。
緑だけではなくて、いわゆる外構、まちなみの部分ですね。「星と時のVillage」で言うと、外周にレンガ調のウォールがあったり、デザインされた鋳物のゲートがあったり、そういった街全体の企画をご提案しました。
今回は特に、他ではなかなか見ない、公園扱いとなるような広い遊歩道が街区の中に設定されていて、街のあちこちに緑が感じられる場所も多かったことから、当社としても得意である「緑」と融合するランドスケープのご提案をしていきました。

そうした提案を行う上で「心掛けていること」はありますか?

お客様にご満足いただけるよう、単にご要望をおうかがいするだけではなく、時には違う視点から意見するなど、結果的にお客様のメリットになる対応を心掛けています。
「星と時のVillage」では、その場所からその時期に見える星座を外構デザインの一部として取り入れるアイデアを追加提案し、最終的には、夜になると光る星座のプレートを街区ごとに12星座分設置しました。
住まう人や街ゆく人がこれ何だろうと見てみると、実はその季節になると見える星座を教えてくれるプレートになっている…そうした街全体を彩るストーリーを事業主と一緒に作り上げてきました。

「まちなみづくり」の中で、多様な業務を担当されていますが、その中で生きている、東急グリーンシステムならではの「強み」はどういった点にあるのでしょうか。

各住戸の個別のデザインだけではなく、まちづくりのコンセプト、プランニング、ディテールデザインまで一貫したトータルコーディネートができることが当社の強みです。
グッドデザイン賞を「星と時のVillage」が受賞した際の評価として、ブロックごとに趣の異なるマテリアルを使い、ディテールから作り込むことで、統一感あるまちなみを超え、独自の世界観が創り上げられている点があります。当社としても、フェンスやゲートといった一つ一つの装飾にこだわり、オリジナルで作り上げていきました。私たちのデザインの中には、技術的に工夫が必要なものもありますが、一つ一つの装飾について制作会社と相談または調整をしながら、最終的に納得がいくものを作り上げることができました。実際に物が納品されて現場に取り付けると施工主さまからも褒めていただけましたので、当社のディテールデザインの質の高さが生かせたと感じています。

「星と時のVillage」の特徴でもある植栽管理の部分で、東急グリーンシステムならではのサポートをされている点などはありますか?

通りによって植える樹木の種類を変えることで、四季を感じられるように設計をしています。そして当社ならではのサービスとしては、「ガーデナーシステム」というシステムで、樹木の消毒サービスを行ったり、居住者様向けに樹木管理の講習会を開催しています。また、ガーデナーと呼ばれるスタッフが個別に各お宅を訪問し、例えば日常的にお困りのことや、植物に関するご相談をお受けするというサービスも展開しています。
こうした完成後の植栽のアフターサポートにも対応する点は、当社の強みとしてお客様に評価していただいています。

まちなみづくりに携わる中での「喜び」「やりがい」はどういった点にありますか?

実際にお住まいになっている方が、それぞれのライフスタイルに合わせてお使いになり、暮らしの一部となっている様子を拝見するときなどに、やりがいを感じます。
「星と時のVillage」は、最初の提案から6年が経ち、ほぼ全ての住宅が完成してきました。住まわれる方が、ご自身のしつらえで植栽をアレンジし、楽しんで暮らしているのがまちなみから感じられます。
コンセプトの立案から細かいアレンジまで、多くの仕掛けをしていますが、こうして街が完成すると、改めて正解が分かるというか…例えば街の中で、門周りを飾っていたりとか、季節になるとクリスマスの飾り付けをしたりとか、「こういう街になったらいいな」という私たちの意図したデザインを実現していただいているのを見ると、この仕事に携わって良かったと、強く思いますね。

東急グリーンシステムは、お客様や協力会社様とのパートナーシップをとても大切にされています。大切なお客様への「約束」を一つ挙げるとしたら、どんなものになりますか?

当社が担う仕事は多くの関係者が連携してゴールを目指すプロジェクトが多いので、信頼関係が重要になります。例えば、納期を守る、誠意を持って対応する、先方の気付かないことまで指摘・提案するなど信頼につながる一つ一つの行動が、「約束」というよりも「共有」していることかもしれません。

「まちなみづくり」事業では、美しいランドスケープを整え、暮らしの中にたくさんの笑顔を生み出しています。「どんな未来を、みどりで描いていきたい」と考えますか?

今まで以上に当社の強みを生かして、社会のニーズに対して貢献できる組織になっていければと思います。
私自身としては、お客様にご満足いただけるように努めると同時に、広い視点から社会的な影響も考慮して、責任を持って仕事に取り組んでいければと思います。

インタビューは制作にかかわる最低人数で実施し、換気性の良い広い場所で、検温、マスク着用など、新型コロナ感染症対策を取った上で、撮影時のみマスクを外して行いました。(2021年5月実施)