特集

Interview “Do my Best!”

―地域の魅力を引き出す―公園運営管理の仕事

パークマネジメント企画室 松本匡浩(中央) リーダー 松下沙智子(左側) 田代友紀(右側)

My Best Project

袖ケ浦海浜公園/船橋港親水公園

アクアラインにより東京からのアクセスも抜群である両公園は東京湾が眺められる公園として地元の方々にも親しまれています。
令和4年度に千葉県の指定管理者制度により当社による運営管理が始まりました。
安全安心を第一に自然と触れ合い、利用者の憩いとなる環境、町や企業、学校など利用者が繋がる公園を提供していきます。

パークマネジメント企画室とはどのような部署でしょうか。ご自身の担当業務と併せてご紹介いただけますか。また、今回公園管理は環境緑化部が行っていますが、これにはどういう意味がありますか。

松本:
パークマネジメント企画室(以後PMP)の前身となる「パークマネジメント準備室」は2020年4月に発足し、「公園や緑地の管理運営分野における指定管理案件を受託し、事業性の検証を行う目的」で設立された部署になります。私はこの事業の専任リーダーとして、プロジェクトをけん引する任にあたっています。
弊社は委託管理での公園管理は行っておりましたが、指定管理者制度での公園管理運営は未知の領域でした。そこで部署としては「指定管理者制度ってなに?」という調査をするところからスタートしました。そして当初の目標は2022年4月から管理開始案件を1件受託することでした。結果的に2件受託できましたので、ひとまずの目標はクリア出来ました。
担当業務の紹介ということですが、「PMP」の事業のフェーズとしては、0から1をつくる創業期といえます。事業の検証をしながら同時に事業の基礎をつくるための時期でもあり、少ない人数で効率的に必要な作業を進めることを考えています。ほぼ、全て新規業務となるので、業務内容についても、常に手探りで進めています。やるべき業務をリストアップしては優先順位をつける。それぞれの業務には担当・サプ担当を付け、作業の進捗が悪かったり、作業がストップしてしまいそうになったら、組み替える、の繰り返しです。勿論、スタッフそれぞれに特性はありますから、得意そうなことを先ずは担当するように話し合っています。少なくとも私は3カ月前とは同じことはしていない、というのが現状です。
公園管理運営を環境緑化部が行うことに関して、現状も今後もすべての「運営」を環境緑化部が「行っている」もしくは「行っていく」わけではありません。仮に公園の管理運営業務の内容を「緑地管理」と「施設運営」とします。 「緑地管理」は環境緑化部がこれまで行ってきた事業なのでその部分を担う。では「施設運営」の部分はどうするのが良いのか?ということです。現在は創業期なので、 事業を推進する意味でも、事業性を検証する意味でも柔軟に対応できる必要があります。そこで将来を見据えて、PMP・環境緑化部が手を取り合って「施設運営」業務を進めています。

松下:
担当業務に関しては、今は指定管理者制度のうち、WebサイトやSNS、園内掲示物といった利用促進を図る広報活動や、報告書式のとりまとめをサポートしつつ、新規案件獲得に向けて取り組んでいます。
担当している業務が自分自身のステップアップにつながっていると思っています。当地の可能性や魅力をどう引き出していくかなど、自分自身にも公園自体にもプラスアルファが増えていくといいなと思います。

田代:
役割については、現在は立ち上げ、スタートラインに立っているため、特に決めていません。とにかく常にみんなで話し合いを重ね、課題をクリアしていくことを目標にしています。その中で一旦分担を決め、やれるかやれないかではなく、チャレンジして作り上げていっています。
運営や緑地管理は環境緑化部がおこなっていて、PMPは地域共同や運営管理など別のことを担当しています。環境緑化部はもともと造園関係の方が多かったり、業務で緑地管理をしているので、PMPがもし提案が得意だったりする人材が多いとすれば、環境緑化部は管理もできる人材が多く、業務でも安定した管理を年間通して行っています。公園の状況や緑地管理がどうしたらよくなるのか、安全を保つためにはどうすればいいのか、年間を通して取り組んでいく必要があるので、環境緑化部が管理を担当することで公園を安定的に維持していけるのだと思います。

船橋港親水公園、袖ヶ浦海浜公園を新たに受託いたしました。それぞれの施設のご紹介をお願いいたします。また今後予定されているイベントや企画などがあれば教えてください。

田代:
船橋港親水公園については、 船橋港を一望することの出来る見晴らしの良い公園で、夏には「ふなばし市民まつり」のフィナーレとして開催される花火大会の会場となっています。
普段の船橋港親水公園は、一般の公園のように子供たちの楽しそうな声が聞こえる公園というよりは、地元の方の散歩やジョギングコースだったり、釣りを楽しんだりする方が多くみられる公園です。今後はロケーションを楽しみながら行うスポーツイベントや、感染症対策もしながら広々とした空間で海風を感じながら楽しめるキッチンカーイベントの協力を行う予定です。また、花苗を植え公園に彩りをもたせることで訪れる人に四季を感じて頂く計画をたてています。
袖ケ浦海浜公園は、千葉港南部の親水公園です。8haの園内には東京湾をかたどった広場や広い芝生広場や公園のシンボルである高さ約25mの展望塔があります。展望塔からは東京湾アクアラインや海ほたる、天気の良い日には対岸の神奈川・東京の街並みや富士山、東京スカイツリーも望めます。又日没以降の眺めは煌びやかな都心方面や川崎、横浜の夜景に加えて、神奈川方面手前には、東京湾に浮かぶアクアラインや海ほたるを一望出来き、ヤシをバックに昼夜とも絶景なロケーションにあるため、海外のような雰囲気を楽しむことができます。
現在は掲示板などがなく公園の情報がわかりづらい為、「ステーションボックス」というインフォメーション機能を持つコンテナハウスを設置します。ステーションボックスの周りにはウッドデッキを設け、訪れた人の新たな憩いの場となる予定です。
また、袖ヶ浦市内でも開発が盛んな海側は新たに袖ヶ浦市民となった方も多くいます。この新たに市民となった方と、以前より袖ヶ浦に住んでいる方との交流のきかっけとなるような場として、「そでがーでん」というマルシェを開催予定です。

松本:
「ステーションボックス」に関しては公園の新しい顔のひとつとして、利用者の安心安全や、公園の情報整理に資する目的でつくりました。それに加えて、地域の事業者の方たちや周辺施設の紹介といったこともしていきたいと思っています。
「ステーションボックス」が周辺の方のふれあいの場となるよう、いろいろな方たちと話し、ご意見を集め、公園の活性化や安心利用につながればと考えています。

松下:
園内の情報、今後のイベント予定、地域の施設などが一覧ですぐにわかるよう掲示板機能も備えた建物がステーションボックスですね。

松本:
袖ケ浦海浜公園は住宅街から少し離れています。当社がこの住宅街と海とを繋ぐ役割を担っていけるのではないかと思っています。アクアラインがあるため、我々としては袖ケ浦は東京の隣町といった感覚があります。袖ケ浦と海をつなげるようなこの感覚を運営に生かすことができればと思います。

それぞれの公園でご自身が気に入っている場所や風景などを教えていただけますか?

田代:
船橋港親水公園はショッピングセンターの隣にあって、買い物に飽きたお子さんをつれて少し外に出られるような近さにあります。公園では、釣りができるところが気に入っています。

松下:
地元の方に愛される公園です。朝から散歩やランニング、体操をしたり、楽しんでいます。わざわざ行くというよりも日常に入り込んでいる公園です。

松本:
2公園とも夕日がとてもきれいです。袖ケ浦海浜公園では条件が良ければ、日中は横浜のまち、ランドマークタワーその奥に富士山が見えます。時間がたつとそこに夕日が沈んでいきます。とても良いです。船橋港親水公園では夕日が沈むところに船のマストが並んでいて、 対岸のボート停泊所に夕日が沈んでいきます。すごく良いです。
また、両公園とも様々な方と会って話を聞いて、 公園やイベントをみんなで一緒に作っています。こういった方々と一緒に作ったイベントでみなさんが楽しんでいる風景が私のお気に入りの風景になれば良いなと思っています。

松下:
私は海育ちなので、やはり海はいいなと思いました。袖ケ浦海浜公園に初めて行った日が雪だったのですが、季節や天候でいろいろな表情をみせてくれる、ポテンシャルがいくらでもあると公園だと感じました。今後も四季で顔が変わってくるのが楽しみですし、そういうところをアピールしていきたいです。魅力をどうやって引きだしていくのか、どうやったら伝わるのかなと。いいなという感覚を人に伝えるのは大変ですが、やりようはたくさんあって、共感や追体験とかみんな味わいたいと思うので、来場してもらう企画や、ウェブサイトなどを通して私がいいと思っている感覚が利用者に伝わればいいなと思います。

仕事を行う上で気を付けている点や心がけていること、モットーなどがあれば教えてください。

松本:
「自己満足に陥らないように」とはよく言いますが、私は細かいところまで気の利いた「満足」のいく仕事をしたいと考えています。ただ、「やれること」「やらなくてはならないこと」は膨大なので、それに対して優先順位をつけて「やらないこと」「どこまでやるか」を選ぶことが満足の行く仕事ができるかどうかにかかっていると考えています。

田代:
当社には色々な経歴の方や得意分野を持った方がいます。そういった方たちのいろんな意見は、一見突拍子もない意見であっても、実際それを紐解いてみたりすると結果いいことにつながっていたりするので、一方通行ではなく、一旦聞いてみること、理解する、まず一度受け止めようとすることをということを心がけています。又、分からないことも「とりあえず挑戦してみる」ことも心がけています。
大人になると公園を利用することがあまりなくなるのですけど、長年公園にお世話になった中学生の娘から、ぽんと聞いた質問に対して結構的確ないい答えをくれたりするのです。こういうことがしたい、ああいうのが足りない、例えば公園のトイレが怖い、とか。そういうこともあるため、仕事仲間でなくても一旦耳を傾けることにしています。子供はリアルな利用者なので、分からないだろうなということでも、いい答え持っていることも多いので、子供からの何気ない言葉は大切にしています。

松下:
コミュニケーション、情報共有です。少しの会話がきっかけとなり話がどんどん進んでいったり、方向性が決まるきっかけになったりすることが多いです。ただ、コミュニケーションといっても和気あいあいと話すというよりは、些細な事柄でも伝え合うことであり、スタッフ内で知っていることに差が出ないよう気に掛けています。

今後のパークマネジメント企画室はどのような案件や運営を目指していくのでしょうか。

松本:
「公園の管理運営はホテルに似たサービス業だ」とよく言われます。今の段階で弊社の運営における方向性を明確に示すものは、実際に管理運営を始めたばかりなので理想論でしかありません。ただ理想として、その地域の「人」「情報」があつまり、地域の拠点としてその地域の顔になり、地域の産官学民における「つながり」が生まれる「駅」のような公園を「みんなでつくって」いきたいと思っています。
指定管理者制度での公園の運営管理案件に限ると、数が限られているため前任者よりも良いサービスを提供できる、実績やアイデアだったり、コストダウンの方法等を様々な人から聞いて細かく組み立てる必要があります。今までの業務の中でも幾つかのアイデアはありますが、これから少しづつ実践して行く予定です。

松下:
今後は様々な特徴を持った施設管理を公園に限らず広げていきたいです。例えばスポーツ施設、例えば郷土資料館、など、あらゆる層に楽しんでいただける施設をトータルプロデュースできたらと思います。

今後の抱負や希望など教えてください。仕事のことでもよいですし、ご自身のことでもよいです。

松本:
公園に関わる仕事をはじめてから、家族に仕事の話をすることが多くなりました。自分の子供に仕事の相談をする日が来るとは夢にも思っていませんでした。とても楽しいですし、やりがいがあります。そのため健康に仕事を続けることが希望で、そのために「体調管理を万全にする」が抱負です。
今まで子供と仕事の話をすることがなかったので、今はこのやりとりを幸せに感じています。

松下:
公園などの施設は、利用してくれる方がいてはじめて意味が生まれます。単にイベントを打ち出すだけではなく、「公園をどうすれば使ってもらえるだろう?楽しんでもらえるだろう?」ということを常に考え、知識を深めてコンテンツを提案し実践していきたいです。

田代:
私は横浜出身で横浜在住で地元が大好きです。横浜はきれいな建物や、歴史ある建物が多いだけでなく、自然が多いところです。
横浜市は公園の維持管理が行届き、花や植木など目で楽しめるものが多く、そういうところが大好きです。横浜に限らず、今回の袖ケ浦や船橋も私たちが管理していくうえで、良くなったなとか、地元っていいな、とか千葉の方にも東京の方にも思ってもらえるような公園づくりをしていきたいと思います。
今後は横浜の公園管理もしたいです。横浜の企業ですので、地元への還元もしたいと考えています。指定管理以外でも、本社の隣の公園なども仕事とは関係なくとも、きれいにしたいですし、CSR活動とか、地域への還元や地域協働など仕事のほかにもできることが増えていけばより充実するのだと思います。